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【書評】紅蓮館の殺人 阿津川辰海

なかなか良くできた推理小説です。

山火事から端を発して大御所の推理小説作家の屋敷に逃げ込んだ訳ありの人達。迫り来る山火事の恐怖に怯えながらも殺人事件が起こる。たまたま居合わせた2人の探偵。実は連続殺人犯であり探偵の親友を殺した犯人とたまたま遭遇することになる。

屋敷から無事逃げおおせることができるのか?そして犯人は?

二重の危機で読者をハラハラドキドキさせる新感覚の館シリーズが公開されています。

葛城輝義が学生探偵で、ワトソン役というか島田荘司の御手洗シリーズの石岡役を僕一人称の田所信哉。そして元ではあるが女探偵、飛鳥井光流が登場します。400ページは読み応えあり、力作です。

続編に「蒼海館の殺人」がありますが、飛鳥井さんはこの小説にしか出てきません。彼女は本筋となる殺人事件に絡み、彼女の探偵としての人生が伏線として織り込まれていることが、この小説の重厚感に一役買っています。